第16回全国高校生ポスターコンクール(2017

  テーマ 「まつり ~ 私のまつり自慢 ~  」  

応募総数1106点から選ばれた奨励賞以上の作品です。 

最優秀賞

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手筒花火


岩切 美朋 

静岡県立浜松工業高校3年 

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【制作意図】

豊橋の手筒花火をモチーフにしました。手筒花火は1mくらいの筒に火薬を詰めてそれを人が抱えながら行います。火柱は10mにもなります。落ちてくる火花はとても美しく、またそれを支えている人もとてもかっこよく見えるので私は手筒花火が大好きです。  

【岐阜県知事賞】


ドカンと一発! 


髙田 珠有 

滋賀県立栗東高等学校3年 


【制作意図】

遠くから見ても近くで見てもすぐに祭りと分かるポスターデザインにしました。全体の構成は打ち上がった花火をイメージし、細部は祭りの熱気や楽しさ、ひと夏の切なさをイメージして描きました。

【大垣市長賞】


静かなる熱


秋枝 あやの  

福岡県立太宰府高等学校1年 


【制作意図】

私の住む地域では、博多祇園山笠があります。私がこの祭りを選んだのは、“始まる前の静けさと緊張”、“山笠を持ち上げたときの漢の引きしまった尻が語る熱”、この2つの対比が描きたかったからです。

【岐阜県教育委員会賞】


どきどきがとまらない 


川畑 聖亜 

福岡県立太宰府高等学校1年 


【制作意図】

私は、祭りが大好きで、特にたくさん人が集まってガヤガヤとにぎわう福岡の放生会のような祭りに夏はよく行きます。その時の私は、この絵の女の子のようにどきどきがとまらない様子で、そういう自分を表してみました。

【大垣市教育長賞】


夏祭り


福永 万里菜

福岡県公立古賀竟成館高等学校1年


【制作意図】

私は「祭り」と聞いてみんなが連想するようなものを描きました。ちょうちんの灯りや金魚だけでなく、水のあわや文字の色を青系にすることで涼しさを表現しました。このポスターをいろんな人に見てもらうことで私の「まつり」を感じてほしいです。

【岐阜経済大学 学長賞】


祀り


石川 あやめ 

埼玉県立越生高等学校3年 


【制作意図】

この作品は神社の神様などをイメージして描きました。日本独特の天狗や獅子舞は描いていてとても楽しかったです。

【優秀賞】

石曳き道灌祭り


青山 今日子 

静岡県立伊東高等学校城ヶ埼分校3年



【制作意図】

私は熱川にある石曳き道灌祭りを題材として描きました。巨大な石を皆で引く力強さを伝えたいと思いました。伝統ある石曳きを今後も続けてほしいと思います。

【優秀賞】

おっしょい


上野 桃

福岡県立太宰府高等学校1年



【制作意図】

テーマが「まつり」だったので、私が住む地域のまつりの博多祇園山笠を描きました。山笠にしようと思った理由は、山笠を生で見たことない人に山笠の迫力や熱気を感じてほしいという思いで描きました。

【優秀賞】

ドカーン


神尾 舞

安城学園高等学校3年



【制作意図】


ドカーンという文字をシンプルに強調しました。花火のところはとても難

しかったけど色々な色を使っていいかんじにしました。Simple is BEST!!


【優秀賞】

一番山笠


古川 紗也夏 

福岡県立太宰府高等学校1年



【制作意図】

唐津くんちを知らない人が多いので、もっとたくさんの人に見てもらいたいから、一番山笠の赤犬を描きました。「エンヤ」という文字は唐津くんちの山笠をひくときのかけ声で、たくさんの人がいる所をイメージしました。

【奨励賞】

非日常への入口

秋元 琉里

富山県立高岡工芸高等学校3年

【奨励賞】

鬼の背中

出口 陽加里

福岡県立太宰府高等学校1年

【奨励賞】

受け継がれる

伊藤 鈴

東海大学付属相模高等学校3年

【奨励賞】

何着て踊る? 

今井 菜々美

愛知県立一宮西高等高校2年

【奨励賞】

ラ・ジャポネーゼ

大川 美咲希

名古屋市立工芸高等学校2年

【奨励賞】

踊らにゃ損々

大作 萌

東京都立工芸高等学校3年

【奨励賞】

伝統を担ぐ

倉田 翔

滋賀県立堅田高等学校3年

【奨励賞】

尾張津島天王祭

黒田 乃愛

名古屋市立工芸高等学校2年

【奨励賞】

泣くほど元気

胡家 苗紬美

岡山県立岡山工業高等学校3年

【奨励賞】

揺れる熱気

佐藤 里音

岐阜総合学園高等学校3年

【奨励賞】

羽後の踊りこ

佐藤 羅奈

秋田県立増田高等学校3年

【奨励賞】

皆でお祭り

信賀 春華

埼玉県立進修館高等学校1年

【奨励賞】

夜高祭の紅に染まれ

島 朱莉亜

富山県立高岡工芸高等学校3年

【奨励賞】

思い出

清水 華

川崎市立川崎総合科学高等学校3年

【奨励賞】

小さな空

髙橋 はるか

東京都立工芸高等学校1年

【奨励賞】

ヨイサ!

十二里 美桜

滋賀県立栗東高等学校2年

【奨励賞】

楽しい鵜飼

中村 洸太

岐阜県立岐阜希望ヶ丘特別支援学校2年

【奨励賞】

体中まさにお祭り騒ぎ

濱野 美月

帝塚山学院高等学校2年

【奨励賞】

おどれ おどれ!!

藤本 莉奈

滋賀県立栗東高等学校2年

【奨励賞】

恋する七夕

山崎 胡代璃

富山県立高岡工芸高等学校3年

  【入選者】  

 入選者は氏名のみの発表とさせていただきます。

 惜しくも上位入賞を逃した作品の作者名を、入選者として発表します。入選者については、下記をご確認ください。

【 入選者への賞状の授与はございません。 】

  【学校賞】  

    滋賀県立彦根工業高等学校

  ・愛知県立杏和高等学校

  ・富山県立高岡工芸高等学校

  ・安城学園高等学校

  ・埼玉県立進修館高等学校

  ・滋賀県立堅田高等学校 


 

  ◆第16回全国高校生ポスターコンクール    審査員講評  

世界のポスターと大垣まつり、高校生のみなさんへのエール宮川友子(グラフィックデザイナー、横浜美術大学 助手)

 

 6月に、フィンランドのラハティという都市で開かれている「ラハティ国際ポスタートリエンナーレ」を訪問しました。会場には選ばれた世界の様々な国の素晴らしいポスターが展示されていました。そして世界のデザイナー達と話すと、かっこいいだけでなく彼らにも似た悩みがあるのがわかりました。デザインの存在価値を証明するために、多くの人が訪れるコンクールなどの場で個性や技術、思想など試すのはすばらしい機会です。

 今年のテーマを「わたしのまつり自慢」にしたのは、昨年「大垣祭の軕(やま)行事」がユネスコの無形文化遺産に登録された記念です。昨年当館で「ユネスコ無形文化遺産 大垣まつり 登録記念ポスター展」を行いましたが、今年冬にもさらに規模を拡大してポスター展を行います。毎年5月の「大垣まつり」には、どこにこんなに人がいたのかというくらい多くの人が集まり、いかに市民に愛されている特別の日なのかがわかります。

 さて今回集まった高校生のポスターを2つに分けると、地域に実際にある祭りを紹介しているもの、自分の中にある「祭り」というイメージを表しているものとなります。全体には、夜のイメージが多かったです。夜は日常(ケ)から非日常(ハレ)への扉が開きやすい、神秘的な時間かもしれません。次の日は日常に戻っていくまでの一時の出来事ですが、受賞者の作品にはその強烈な印象がうまく表現してあるのだと思います。

 私は初めて審査に挑みましたが、訴求力の強いポスターには自然に引き寄せられたのがおもしろかったです。それは手描きのものが圧倒的に多いです。描き手の思いがダイレクトに伝わってくるのです。しかしこれらがそのままで社会に通用するかというとそうではなく、平面的な印刷物になった時にもそのパワーが落ちないまま伝わるように表現を工夫しなければならない。それがデザインするということだと思います。

 これから高校生のみなさんは次第に大人の一員となっていきますが、〈自分〉をいかにプレゼンテーションするかは、どんな世界でも大事です。そこに興味をもち、必要なことを学んでいくのにポスターやグラフィックデザインを足がかりに選んでくださると嬉しいです。

 最後に、数点について個別に感想を書きます。

*岩切さんの「手筒花火」について

 このポスターは、実物を見るとわかりますが、ものすごい力強さで目を引きます。それは紺色に黄色・オレンジの強い反対色でもあるし、手筒を持った男性の厳しい表情でもあると思います。火花によって「火花」という文字があり、肩から腕にかけてはじく火花のくっきりとした軌跡と、背景で火花が着地した地面がほのかに光る比較が奥行きを出し、非現実的ですが絵としてバランスが良いです。

*高田さんの「ドカンと一発!」について

 「祭」という文字を太く描き、その線の中に様々な祭の情景が叙情的に描かれており、1つ1つをじっくり覗き込んでしまいます。描かれたマンガ調の人物の表情も魅力的で、夜の紺色だけでなく全体を横切る金魚すくいの涼しげな様子や「祭」の字の最後の画に見られる不思議な明るいトーンなどの構成が巧みです。全体をもう少し上げて、下は窮屈に文字が入っているのをすっきりさせるとパーフェクトになったと思います。

*秋枝さんの「静かなる熱」について

 丹念に描かれたふんどしとお尻が目を引きます。「熱」という文字を光源として照らされた後ろ姿の描写には賞賛しかありません。でも「熱」という文字はふんどしに重ならない方がすっきり見られたかもしれません。また秋枝さんだけでなく上位受賞者には福岡からの参加者が多いのですが、それだけ祭りへの思いが強いのだなという感想を持ちました。


主催:認定特定非営利活動法人  日本国際ポスター美術館

共催:大垣市、大垣市教育委員会、岐阜協立大学

後援:岐阜県、岐阜県教育委員会、(公財)大垣国際交流協会、大垣商工会議所、大垣青年重役会